スタイリスト 四方章敬 × ブリティッシュメイド 2023年春夏プロジェクトがスタート!
BRITISH MADE
Fashion
「イギリスにルーツを持つアイテムを現代のライフスタイルに合うよう再構築する」をテーマに2021年春夏にスタートしたブリティッシュメイドのオリジナルコレクション。開始当初より、スタイリスト 四方章敬さんにメンズディレクションを担当していただいています。今回はこれまでのプロジェクトや入荷直前のオフィサーシャツなど2023年春夏のアイテムについてスタイリスト 四方章敬さんとPR坂本の対談形式でお伝えいたします。
PROJECT MEMBER
スタイリスト 四方章敬さん
「LEON」「MEN’S EX」「Men’s Precious」「THE RAKE JAPAN」など、ラグジュアリーメンズファッション誌で活躍中の四方章敬氏。イギリスの洋服に詳しいだけでなく、洋服が持つディテールとその背景を熟知し、現代のファッションにまで精通するスタイリストです。
ブランドPR 坂本竜
ブリティッシュメイドの前身ディセンタージュの販売員を経て、2013年よりプレス。
現在ではジョンストンズ オブ エルガンやグレンロイヤルといったイギリスブランドのPRを行う傍ら、ブリティッシュメイドのオリジナルコレクションの企画も行っている。
スタイリストの知識をフルに活かした英国的且つトレンドを捉えるプロダクト
――開発の都度、吟味を重ねに重ね……数々のアイテムを世に送り出してきたわけですから、それぞれのアイテムへの思い入れも強いはず。まずは、これまでを振り返っていかかでしょうか?
四方章敬さん(以下、四方さん):商品をディレクションする経験自体、初めてのことだったので、とにかく手探りでした。正直、右も左もわからなかったです(笑)。ブリティッシュメイド ディレクターの小林さん、 PRの坂本さんたちと色々話しながら進めましたね。
スタイリストという職業柄、いろんな洋服を見る機会が多い中で、こういうのがあったら良いな、面白いんじゃないか、とか自分の仕事を活かして、楽しみながら取り組めていますね。
ディレクションにあたって「自分の着たい服」という思いが前提にありました。ただ、ベーシックすぎても、ありふれた服になるし、かといってトレンド性を盛り込んで遊びすぎても、着る人を選ぶ服になってしまう……。誰でも着やすい、なおかつお洒落に、格好良く見える、このバランスを考えて作っているのがブリティッシュメイド オリジナルコレクションです。
坂本竜(以下、坂本):トレンドを適切なタイミングでつかむ、そして程よく取り込んで提案するって難しいですよね。ありがちなのは、提案するタイミングが早すぎてしまったり、その逆もしかりで……。でもブリティッシュメイドのオリジナルは、そのバランスが良く、やりすぎていないのに今着たいと思える服に仕上がっていると感じています。四方さんの中で、そういったタイミングのつかみ方みたいなものってあります?
四方さん:日頃スタイリストとして多くの洋服に触れている身として、トレンドの推移を感じ取りやすいという側面はあるかもしれませんね。面白いことに、媒体が変わると提案するタイミングや提案の仕方は異なりますよね。トレンドを牽引する媒体の場合、たとえば“今年はこう着る!”の提案内容が強くて、その時は(いやいや、まだ早いでしょ……)と思ったら、翌年には他媒体も含めて近しいスタイリングやアイテムが出てきたり、のような例です。トレンドが媒体やブランドの展示会、商品などを通じてどう広がっていくかを身近に実感する機会は多いです。
坂本:自分たちでも良いところに着地したと思えるアイテムは、すぐに完売したりと驚きましたよね。そして、特に四方さんは、メンズドレスの媒体を幅広く担当されているスタイリストなので、そういった背景を知っていらっしゃるコアなファンの方々もいらっしゃいますよね。そういった方々にも興味を持っていただき、広がっていく流れもありますね。
四方さん:ありがたいことです。そういった方々にも引き続き、支持していただけるようなアイテムが提案できればと思います。
スタイリストの理想が詰まったオフィサーシャツ
――改めて今までのコレクションを振り返って、特にお二人の思い入れがあるアイテムを教えてください。
四方さん:たくさんあるんですが、やっぱりこれ。オフィサーシャツ プリマスです!
坂本:記念すべき一番最初に制作したシャツですね!
四方さん:ちょっと一安心、じゃないですけど。あーよかった!と一番感じたアイテムですね(笑)プロジェクトの一番最初ということもあり、かつ自分の選び抜いた素材、色、ディテールで完成したシャツ。それに対して、興味を持っていただける方々がいらっしゃった。純粋に自信につながりましたね。
オフィサーシャツは個人的にも作ってみたかったんです。それがブリティッシュメイドのプロジェクトで、しかも初回。まず、英国らしさをどう取り入れるか……とにかくいろいろ考えていましたね。
坂本:初回ということもあり、オリジナルコレクションのコンセプトを具現化する中でご相談させていただきました。また、余談ですが、こちらのシャツは鎌倉シャツとのコラボレーション。ドレスシャツを得意とする鎌倉シャツから見ればオーバーなサイズ感覚で、今までのセオリーからは外れていると思うんです。しかし、原型である古着市場から見たときには海外規格のシャツですので、反対にもっと着丈が長かったりと商品にする過程でコンパクトに仕上げている箇所も多々あります。どちらの視点から見ても、このサイズスペックはありそうでないですよね。
四方さん:サイジングも、僕が仕事をする上で、特に意識するところです。例えばイタリアにはイタリアの良さが当然ありますが、その反面、やや細く感じてブリティッシュライクなスタイリングにならないこともあります。対して、国内ブランドだとゆるすぎたりとか。もちろん、格好良いんですよ。でも年齢と、そして自分が着ることを考えると“程よく”、“ちょっとだけリラックス”しているところが、大人っぽくて良いなと。
またそれが、シャツに限らず本当に中々ないというか……(笑)。そんな思いがあって形となったオフィサーシャツは、まさに理想的だと思いました。
坂本:実際、商品が完成して発売となり、その後リピートもしていますが、完成時に細部まで詰めていたこともあり、リピート時の修正もほとんどありませんでしたね。2023年春夏では生地や色のバリエーションを増やして展開予定です。ブリティッシュメイドの顔となるアイテムになったと思います。
四方さん:はい、僕としても思い入れの強いアイテムです!
ブリティッシュメイドのベストセラー オフィサーパンツ
坂本:僕はオフィサーパンツ ポーツマスですね。2022年、数あるブリティッシュメイド オリジナルコレクションの中でも一番の支持を得た商品です。トロピカルウール、コットンツイル、フランネル、コーデュロイなど、どんな素材で作ってもバランスよく見える、作り手側から見ても優秀なパンツです。
個人的にも素材や色違いで何本も持っていて使用頻度がとても高いです。理由はパンツのシルエットとボリュームが良いのでトップスにジャケットなどオン寄りのアイテムからスウェットなどオフ寄りのアイテムまで合わせられる汎用性の高さと履き心地です。また、パターンが良く、履いていて凄く楽です。見た目が良く、合わせやすく、履いていて楽というパンツはなかなか無いので、最近は仕事の日だけでなく、休みの日も履いてしまうほどヘビロテしています。
また、第二弾として展開した“生成り”のオフィサーパンツの様に白をキナリに変える、5ポケットをトラウザーズに変えるといった世の中にあるものにちょっとした変化を加えることで白パンに抵抗がある人にも提案できたり、ホワイトデニムの様なカジュアルな使い方では無く、ジャケットにも合わせられるコットントラウザーズとして提案できたのはブリティッシュメイドとしてとても良かったと感じています。
四方さん:良いですよね、オフィサーパンツ。ご依頼を受けた身としても、面白い発見がありました。例えばこのブラウンの色味は、僕だとなかなか選ばない。坂本さんがよくアースカラーの服を着ているのも見て良いな、と。こういった色味のコットントラウザーズをイエローヴィンテージストライプのカジュアルシャツと合わせるなど、スタイリングが広がる発見です。
2023年春夏はクローゼットがより楽しくなるコレクション
――2023年春夏のコレクションについて教えてください
四方さん:既存のデザインがあるアイテムに関しては、今までより少し特徴のある生地や色を多めに選んでいます。デザインは一緒なんですが、洋服を愉しむという視点で『こういうのはどうでしょう?』という提案も含めたコレクションです。それでも、“誰しもが着やすい”が僕の根底にあるので、決してコーディネートは難しくない。このさじ加減で攻めてみました。例えばオフィサーシャツはヴィンテージ感はあるけどドレッシーな珍しい生地や、リネンも以前は無かったブラウンを取り入れたり。素材や色を変えることで、また違った印象になります。この塩梅が難しかったですが、今回も良いバランスのアイテムに仕上がったのではと感じています。
また、今後、Tシャツをリリースする予定もあります。ひとまず、それでベーシックなアイテムが揃うので、今度はスタイリングの幅が広がるものを作れたら良いなと思っています。例えばワイドパンツだったり、スポーティなものだったり、コラボレーションだったり。色々計画を進めている最中です。ベーシックアイテムもより引き立つ提案ができればなと思っています。
坂本:クローゼットが楽しくなりますね!
四方さん:そうですね、本当に楽しくなると思います! 新色のオフィサーシャツも早く発売してほしいなあ。シャツも実は新しい形を作っていますし、ワイドパンツも、ドカンとしたストレートではなくて、ちょっとだけワイドみたいな、僕なりの気分的なところを反映したいので、個人的にも楽しみです。
2023年春夏もオフィサーシャツからスタート!
――直近で発売するオフィサーシャツについて教えてください
四方さん:まず、素材のチョイスですね。くすんだ色が、トレンド的にスタートしているのが背景にあって。例えばブルーでもちょっとだけくすんでいるとか、色んなお店で見ていて、すごく良いなと思っていました。なにが良いかっていうと、色がくすむ=スタイリングに取り入れやすいんですよ。パキッとした色よりも簡単に着れる。また、色がくすむと、自然にヴィンテージテイストにもなるので、オフィサーシャツのイメージにもマッチします。これで、いろいろな方向性も決まりました。ですので、素材の色に関してはくすんだ色をチョイスしています。
坂本:このブルーのオフィサーシャツも面白い提案ですね。200番手双糸の、こんなにタッチが柔らかい生地は、普通だったらドレスシャツの生地として選ぶと思うんです。それをあえてバンドカラーのオフィサーシャツ、しかもこのくすんだブルーというチョイス。
四方さん:そう、この生地でカジュアルシャツ、というのがミソですね。僕が監修するにあたって、自分の持ち味をどう活かすかを考えたときに、僕はやはりドレスクロージングが軸なので、「ベースがカジュアルなものなら、きれい目にプラスしていく」、「誰もが着れるシンプルなスタイルに落とし込めるのか?」、のような視点で選びました。なにより、自分もそういう服が好きなので。
そう考えたときに、今回のオフィサーシャツは英国ミリタリールーツのカジュアルなデザインなんですけど、生地はドレスに使われるようなものが面白いんじゃないだろうか、というロジックになります。原型のオフィサーシャツはヴィンテージアイテムとして有名ですが、こういった色、素材、柄で展開するものは、あまりありませんよね。
坂本:四方さん的にはどういった合わせがおすすめですか?
四方さん:ミッドグレーのオフィサーパンツとかおすすめですね。グレーは中間色で、いわばニュアンスカラーなんですけど、同じくこのブルーもニュアンスカラー。少し、ぼやけさせるのも良いですし。逆に、グルカショーツのネイビーのように、ブルー系で統一するのも良い。デニムも良いですね。
四方さん:なんでデニムが良いのか?っていうとデニムとシャツの着こなしはカジュアルに見られがちなんですけど、このオフィサーシャツはドレス生地なので、合わせてみると簡単に品の良さを演出できる。
坂本:良いですね! デニムといえばスタンダードなアイテム。それにブルーのオフィサーシャツを合わせるだけで、品の良さと英国感をプラスできますね。
四方さん:そうなんです。シンプルで、すごく格好良い。テロっとした生地感が一見難しいと思うかもしれませんが、合わせかたは本当に簡単。前述のとおり新色、生地のアイテムは、(おや?)と敬遠されるかもしれませんが、意外と普通の洋服と、相性が良いんですよ。
四方さん:前回カジュアルシャツでご好評いただいたヴィンテージストライプを、オフィサーシャツでもトライしてみました。個人的にも楽しみにしていた気分の柄で、よりクローゼットを新鮮にしてくれると思います。
坂本:この生地も良いですよね。100番手双糸で打ち込みの強いタイプライターは日常使いにちょうど良い。
四方さん:気兼ねなくガシガシと着れるし、洗ったらまた雰囲気が出てきそう。経年変化の面も楽しめますね。何度も「こういう生地ありますか?」と、やりとりを重ねて探し当てました。今回もこだわった分、素材選びに時間がかかりましたが、自分なりのチョイスができたと思います。
自分としても、すごく突拍子もない色や柄を合わせることは絶対になくって。ちょっと派手めなものを着れば、パンツは地味なものを選んでバランスを取るのが、なんとなく自分のセオリーです。スタイリスト、そして自分の軸がありつつ、今の感度で選んだアイテムなので、もちろんベーシックなアイテムと相性が良いものになっていると思います。
坂本:リネンレーヨンのオフィサーシャツはどうでしょう?
四方さん:前回はネイビーがご好評いただけましたので、その新色としてラインアップに加わったのが、ブリティッシュなカーキと、ブラウン。この茶色、よく仕上がっているなあ。赤っぽい茶色、めちゃくちゃ良いし、このカーキも英国調ですごく良い。
四方さん:リネンのオフィサーシャツは暗めの色を選びました。リネンなので暗めの色でも素材感が軽いのがポイント。リネンの持つ春夏らしい清涼感があるからこそあえて暗めの色を選んでも重くならないというバランスが格好良くって、大人だなと(笑)。こういうシャツを、夏に袖まくりして着ている男性は、格好良いですね!
さらに涼しさを加えるのであれば、生成りのオフィサーパンツが良い。こなれてみえますね。足もとはグルカサンダルなんかと合わせて、サラッと着こなしてほしいです。
開発秘話となるエピソードを公開予定!
2023年春夏プロジェクトのスタート対談はお楽しみいただけましたでしょうか。これから数々のアイテムをリリースする予定です。四方さんを迎えたスタイリング特集の掲載を予定しているほか、今季は開発秘話までご紹介いたします! ぜひ2023年春夏の新商品とあわせて、ご期待ください。
銀座店 Instagramアカウント:@britishmade_ginza